彩里沙のストーリー

『彩里沙みたいになりたい』

『紺野さんと一緒がいい』

学校へ行くと、いつも友達から
そんなことを言われる。

可愛くて綺麗で性格も真面目。
おまけに何をやらせてもそつなくこなす、
そんな女子の憧れの的。
それがみんなの言う私らしい。

正直言うと、綺麗とか可愛いって
言ってもらえるのはすごく嬉しい。
ネイルだって髪だって普段から
人一倍気を遣ってる自信はあるし……
スタイルの維持だって、ママがうるさいせいで
子供の頃からずっと気をつけて生活してきた。

でもだからと言って、みんなの期待や私に抱くイメージを、
ずっと守り続ける生活なんて出来っこない。

最近店で空先輩と話してると、本当にそんなことを強く感じるようになってきた。

いつも自由気ままで、楽しそうに笑っている空先輩。
私もあんな風に、誰かに上手にわがままを言ったり甘えられる人になりたい。

支配人も私にはもう少し気持ちに余裕を持った方が良いって言うけど……
気持ちに余裕を持つって一体どういうこと……？

別に毎日怒ってるわけでもないし、
これでもお店の仕事は、自分なりにすごく楽しんでやってるつもりなのに……

『私も、彼氏でも作ったら少しは変われるのかな……？』

最近一人でいると、ふとそんなことを思ってしまう。
みんなもそれには大賛成って感じで、教室じゃ煽ってくるけど……

でも私、好きでもない人と付き合うなんて絶対無理だし。
彼氏が欲しいから付き合うっていう理屈も、正直なところ全然わからない。

バイトに学校に、それなりに忙しい私の毎日。
でも今年の冬は、そんな自分に少しだけ変わるきっかけを探してあげたかった。

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