『お礼の手紙?』結城萌楓
『騒がしくも愛おしい日常』古塚由依
『香純のイメチェン?』小清水香純
『朝チュン事件』花守栞織
『大人っぽさとは!?』結城萌楓
もっとIXSHE Tell 彩楓

キャラクターショートストーリー『大人っぽさとは!?』結城萌楓
シナリオ:桜城なお

ハロウィンパーティーの余韻もすっかり過ぎ去り、
みんなクリスマスパーティーに向けてソワソワし始めた頃。
最近よく考えるようになったことがある。


『大人っぽさってなんだろう??』


私自身、まだまだお母さんたちに甘えちゃうこともあるし、
お姉ちゃんと比べれば比べるほど自分が子供っぽく思えてしまうこともある。
だから背伸びしたいわけじゃなくて、
自分はどんな大人の女性になるのだろうかという純粋な興味であって……


ち、違うから!
二宮先輩に子供扱いされたままじゃ嫌だとか、
ほ、ホントそういう理由じゃないから!


「って、はあ……なに一人で焦ってるんだろう……」


でもどうしてかな?
いくらお姉ちゃんや山吹副会長たちが年上だと言っても、
せいぜい3つほどしか変わらないのに不思議と大人っぽく見えてしまう。
それは私服姿でも同じことなので、
海咲浜との制服の違い――というわけでもないはず。


「となると、やっぱり環境の問題?」


大人っぽい人たちが集まれば、自然と大人っぽい話題になるのかも?
例えば……恋バナとか? オシャレについてとか?
そう考えると私の周りでは――


『ガハハハハ! このチーズ味のトルティーヤチップス、ゲロのニオイする!』


『おやめなさいおバカ! そういうことを言っていると鼻に突っ込みますわよ!』


『どっちにしろ食べてる時にする話じゃないよお!』


あぁ~……う~ん……
うん、だいたいいつもこんな感じ。


「間違いなく環境のせいだよね……」


思わず頭を抱えて机に突っ伏してしまう。


朱に交われば赤くなる、っていうことわざもあるくらいだし、
私も青葉みたいにエキセントリックな青緑色に染まってしまっているのだろう。


由依は青葉と比べたら普通の子だけど、
それでもあの『ザ・ゆいポン』って感じの口調が大人っぽいかと訊かれたらよくわからない。


それにお姉ちゃんは――
『萌楓ちゃんは可愛いからそのままでいいんだよ』
って言ってくれるし褒めてもらえるのはもちろん嬉しい。
でも裏を返せば『お姉ちゃんには勝てないよ』って言われているような気がしてしまい、
申し訳ないけど素直には喜べない。


やっぱり誰よりもカッコよくて可愛いお姉ちゃんだからこそ、
そんなお姉ちゃんに本気でライバル心を燃やしてもらいたいって思う。


だからこそここは私が青葉たちを引っ張って大人の階段を登るしかない!


……といっても、大人っぽい話題なんて急には思いつくはずもなく、
まずはビジュアルから入ってみることにする。
私だってお姉ちゃんの妹なんだから、
少し雰囲気を変えるだけでも大人っぽく見えるかもしれない。


「髪の毛も、2箇所結ってるとそれこそ子供っぽいし……」


お姉ちゃんのマネをして、初めてワンサイドアップにしてみる。


「おぉ~、大人っぽい……!」


続けてお姉ちゃんの部屋からこっそり持ち出したファッション誌を参考に、
昨日ヴィクパで買ってみたアイライナーで目力アップに挑戦する。
さらに一緒に買ってきたリップグロスでぷっくり艷やかな唇に仕上げる。


「こ、これが本当に私……!?」


鏡に映る姿はどことなくお姉ちゃんに似ているが、
それでもまったく別の大人の女性。
思わずドキッとしてしまったのは自分の変化に驚いたからか、
それともそこにいたのが想像以上の美人だったからか。


「今の私、二宮先輩が見たらどう思うかな? 綺麗だって言ってくれるかな?」


意識しないようにしていたはずなのに胸の鼓動は勝手に高まっていく。


「あ、あの……どうですか先輩? 私、大人っぽくなりましたか?」


「もちろんだよ。大人っぽくて、すごく綺麗で……(モノマネ中)」


「先輩?」


「俺、やっぱり萌楓ちゃんを、す……好きになっちゃいそうだよ(モノマネ中)」


「やぁ~~ん♪」


これだよこれ! もうこれしかない!
大人っぽくなろう作戦、すぐにでも実行するしかないよね!


こうして―― ものすご~く子供っぽい妄想を繰り広げていることにも気づかず、
一人で延々と盛り上がってしまう私だったのです。



END

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