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エロゲー制作ブログ

2020.08.14

第4回
『 音周り(声優・BGM・サウンド)のお仕事 』

BGMや主題歌のお仕事

第2回キャッチ画像

エロゲーをプレイする上でもBGMは欠かせません。テキストや絵にプレイヤーの感情を乗せていくのが音です。音でテンションて凄く変わるんです。例えばバトルシーンにしても、ビートを刻んでテンションアップするものから壮大な音でドキドキさせるものとか。BGMは事前に場面を想定して曲を発注していきます。

一番ユーザーが耳にする事になるのが日常場面の曲ですが、 だからこそ飽きないよう複数パターン用意したり前に出過ぎないようにしたり。 主にスクリプトの事を考えて過不足無いようにしていきますが、予算の兼ね合いで発注数が決まっているので そのなかでやりくりをします。
その際、個人的にカットしていくのがヒロインのテーマ曲だったりします。 これだけでヒロインの人数分の枠が必要になるわりに、案外使いづらかったりします。ヒロインのテーマ曲はヒロインのイメージに合わせて作曲していくのですが、序盤に合わせていけてもデレた後半は元気が良すぎて使えなかったりする事が経験上多かったです。 なのでSMEEの『フレラバ』ではヒロインのテーマに「友達モード」と「恋人モード」の2種類を用意して 「BGMでもデレる」という演出に使いましたが、ここまでしないと活用は難しかったです。

ボーカル曲はスケジュールの問題で、BGMより先に作業をしてしまう事が多いです。 最近のHOOKSOFT系列ではティザームービーを作っているのですが、私のこだわりでここにボーカル曲を入れたかったためです。 その方がユーザー側としてもイメージしやすく完成度が上がるかなと思っています。 ボーカル曲は作成に数か月掛かってしまうので、結果として早めに動きます。

ボーカル曲の発注方法も人に依ると思うので私の場合では、 先ずは今作の曲イメージを色々なところから探してきてテーマを定めていきます。 曲の方向性は「エロゲらしさ」とかガン無視して一般曲に寄せていきました。

先ずはショートバージョンのメロディラインが分かりやすいものを頂き、OKだったら音を広げていきショートバージョンを仮完成させた後にフルバージョンを作成していきます。 ムービーに使われる部分だけ細かく調整をして、一部の人しか耳にしないであろうフルバージョンは純粋に曲として楽しんで頂けるよう 好きにやって頂いてます。 歌う方も名前などを気にせず、歌声を楽器の一部と捉えて耳で聴いて曲に一番しっくり来た方にお願いしました。 歌詞は才能なので完全にお任せでやって頂いてます。出来る人は凄い。

『放課後シンデレラ』の主題歌で細かく説明できればいいのですが、文章で伝えるのは難しそうです……すみません。 そのくらい感覚的な部分が強かったので、カタチに出来た事が有難かったです。今までで一番リテが多くなっちゃいました。 エンディングはかなり分かりやすく説明できるのですがネタバレになるので説明できないですね……。 「こんな発注されたのは初めてです」とは言われました。

他でわかりやすいものを挙げますと、またSMEEになってしまうのですが、『カノジョステップ』のEDは 「結婚式の入場ソング」をテーマとして作りました。 前サビからの前奏の入りで式場のドアが開いて新郎新婦(主人公とヒロイン)が入場するイメージです。 萌えゲーはエピローグで結婚してるのがお約束みたいなものなので、スタッフロール内で結婚式をして エピローグで後日譚でまとめたかったのですが、作業のドタバタで指示がチグハグになってしまった事を今でも悔やんでます……。 各ヒロインの後ろ姿立ち絵ににウェディングドレスを着せたりしたかった……。

声優のお仕事

田寄多乃実台本イメージ

同じ“音”ということでこちらにも触れておきます。 シナリオ終了後、台本化して収録をする流れになるので、その数か月前に声優さんを決めてスケジュールを抑えていきます。 なのでシナリオが遅れるということは台本化が遅れるということで、収録も遅れるので声優のスケジュールが狂います。遅れるのダメ、絶対です。声優候補はオーディションの場合もありますが、この業界だとレアケースじゃないかなと思ってます。基本的には指名になり、私の場合は色んなエロゲをプレイしてそれをサンプルボイスみたいにしてイメージを作っていってます。 その方がサブキャラとかも拾えたりするので。

ヒロインひとりにつき大体2300ワードくらいが普通かな?くらいで、3000超えると多い印象になります。1回の収録で全部は録りませんが、数時間は声を出し続ける事になるので結構な長期戦になります。そのため最初に頑張りすぎると後半バテてしまいます。日常シーンなのに「なんかこのヒロイン疲れてない?」となってしまう事も……。当然それはNGになるので、声優は体力勝負なんだなと感じております。滑舌もそうですし、腹筋も使いっぱ。Hシーンはその極みでかなり大変なので、シナリオの流れ通りにやる場合と一旦飛ばして後からやる場合があります。

アニメと違いひとりずつの収録になるので、掛け合いのシーンも脳内のイメージでやっていきます。 ここらはホント、目隠しして演技しているようなものですね。

収録の立ち合いは、内容を把握しているライターもしくはディレクターになります。感情のニュアンス違いや質問が来るので都度答えていきます。 同じ「嫌い」というセリフでも気持ちの裏返しかどうか分かりにくい場合があり、こういうのを演技で分かりやすくユーザーに伝わるようにします。

収録後、音声ファイルを1ワード毎に切り分けてファイル名を付けていきます。単に切れば良いわけでもなく、中にはリテイクデータなどもあります。収録中、どこにリテイクが出たのか、台本内に間違い(呼び方、日本語の使い方など)があった際はどこで発生して直したのかなどをメモっておかないとデータが出来ても何がなんだか分からなくなってしまいます。立ち合いは常にメモ取ったり台本とにらめっこしているのでめちゃくちゃ集中力使います。1日の収録で複数人入れ替わりで回していくため連日9時間ぶっ通しは過去に経験しました。なので「ああ、今ブース内で声優さんが喘いでるんだー」みたいな事を思う余裕なんてマジでありません。向こうも必死。こっちも必死です。

余談ながら、声優が読みにくそうにしていると申し訳ない気持ちになります。

オマケ

おまけ4作品イメージ

『MeltyMoment』
放課後マップに時間の概念を取り込んで、タイミングによってヒロインとのエピソードが変わるという フラグ管理がきっついシステムを搭載してますが、個人的には凄く尊敬していて『放課後シンデレラ』の原型にも使わせて頂いてます。

『トラベリングスターズ』
HOOKSOFT15周年企画としてファンタジーの世界観を混ぜ込んでみました。どこまでがOKでどこからがNGなのかなど 話合いがかなり多く、カタチにするのが大変でした。

『Amenity's Life』
擬人化企画第三段。トラベリングスターズの最中に私の方で企画を進めさせて頂きました。 キャラクターが多くて大変なのですが、擬人化キャラを考えるのは楽しいです。

『IxSHE Tell』
かるーい気持ちでプレイして頂けるよう設定を作っていきました。開発にトラブルは付き物なのですが 結構順当に進行したような。……記憶の捏造??

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