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「どうしたんだ? 何か探し物か?」

「ふぇ?」

 

沙織ちゃんはびくんっと尻を弾ませ、こちらに目を向ける。

「わ、コーメイ先輩!
 いつからそちらへいらっしゃったのでございますかっ」

「少し前からだけど、なぜそんなにかしこまる?」

「だって先輩は、わたしの初めてのアレを貰ってくれて、
 それからアレにソレで……」

 

さっぱり分からない。

「普通に話してくれていいよ。俺たち、付き合ってるんだし」

「付き合っ……そんな、滅相もないです!
 わたしがコーメイ先輩とお付き合いさせていだだくなんて!」

「何を今さら……」

「沙織は、コーメイ先輩のブタですっ。
 ブタはブーブー鳴いてればいいんです!」

 

こんな可愛いブタがいたら、豚汁も飲めなくなる。

「わたしのことはメスブタとお呼びください、先輩っ」

「いやいやいや、沙織ちゃん少し落ち着こう」

 

普通に考えておかしいだろ。
女子学生で、メスブタなカノジョとか。

 

……

「おい、メスブタ!」

「はい、コーメイ先輩! ブーブー! ブーブーブー!」

 

最高すぎる……!

 

こんなこと、先輩に知られたら大変だろうけどな。

 

というより、どちらかというと先輩をメスブタと呼んでみたい。

『どうだ、京香! 悔しいか! このメスブタがっ!!』

『わたしは光明様のメスブタです!
 もっと……もっと、罵ってください!』

 

……自重しろ、俺。

「コーメイ先輩、メスブタの沙織に何なりとご命令を」

「いや、メスブタはもういいから。ところで何を探してるんだ?」

「あ……実は、コンタクトを落としてしまって……」

「コンタクト? 沙織ちゃんって目が悪いのか?」

「……悪いのは、
 顔や頭や性格だけじゃないのかって言いたいんですね」

「なんでそんなに自虐的なんだよ」

「沙織はメスブタですからっ」

 

そんなこと言われると、尻をパンパン叩きたくなるんだが……

 

沙織ちゃんのこの格好は、非常に目の毒だ。

「じゃあ、俺もコンタクト探すの手伝おうか?」

「ああーっ! 先輩はこっち来ないでください!
 ていうか、動かないでくださいっ」

「どうして?」

「コンタクト、踏んじゃうかもしれないじゃないですかっ」

「そこまで迂闊じゃないよ」

「そんなの信用できないですっ。
 先輩って、絶対ドジっ子ですからっ」

「彼氏なのに、信用ないなあ……」

「とにかく、そこにいてください」

「はいはい」

 

とりあえず、ここから動かなきゃいいわけだよな。

「う〜ん、この辺だと思うんだけど……」

「沙織ちゃんってさ」

「……なんですか?」

 

目でコンタクトを探しつつ、声だけが返ってくる。

「こうやって見ると、お尻の形いいよね」

「えっ?」

「ああ、気にしないでコンタクト探してて」

「ひゃっ!? やあっ、せんぱっ……」

「ほら、動かない。自分でコンタクト踏んじゃうぞ?」

「っ…はいっ」

 

一度は素直に返事をしたものの、

「じゃなくって、どこを触ってるんですか、先輩っ」

 

両脚をすり合わせ、これまで以上に大きく尻を振る。

 

そのたびにぷるぷると震える腿肉が、健康的で微笑ましかった。

「コンタクトが見つかったら終わりにするから」

「っ……ん……あ……っあ……っん!?」

 

短パンの縫い目に合わせて指を這わせるだけで、
沙織ちゃんは切なげな声を洩らす。

 

布地越しでも、指先に当たる温かい何かを感じた。

 

それはひたすら柔らかく、軽く力を入れただけでも形を変えていく。

  (中略)

「あの……」

「ん……どうした?」

「わたし、病気みたいです……」

「病気? どこか具合悪いのか?」

 

手を休めて表情を窺うと、沙織ちゃんは頬の紅潮を強めてうつむいてしまう。

「指でしたの、痛かったか?」

「ち、違いますっ。すごい気持ちよかったですっ。
 人生の価値観が変わるぐらいっ」

「ていうか、こんな気持ちいいことがあっていいんですかっ」

 

言ったあと、頬の赤みが耳にまで飛び火していく。

「えっと、そうじゃなくて、そういうことじゃなくてっ……」

 

面白いから、もう少し見守っていよう。

「わたし、変なんですっ」

「変?」

「はい……コーメイ先輩にメスブタって言われると、
 すごくドキドキして……」

「メスブタ?」

「……冷たい目で見下されると、背中がゾクッとするんです」

「これって、おかしいですよね? わたし、変態なんですかっ?」

 

俺は、親指を突き立てて答えざるを得なかった。

「正常。至って正常」

「ぜ、絶対ウソですっ。
 今、『この変態女め!』って目をしてましたっ!」

「うるさい、この変態女め!」




「ひゃんっ! ああっ、んっぅ、ふっぁ、せんぱいっ……」

 

こちらから罵ったときの濡れ方が尋常じゃない。

 

本当に、じわっと染みてくる感じだ。

「はぁっ、わたしっ……どうしてっ……やっん、んっん、んっぅ!?」

 

頭を横に振る沙織ちゃんの耳元へ近づき、囁いてやる。

「メスブタ」




「やっあ、あああっ、んぅぅっ、んんんーっ!?」



 

 
 
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